バリアフリーナビプロジェクトでは、バリアフリーを皆さんに知っていただくため 歩行空間にまつわるコンテンツを紹介していきます。
皆さんはバリアフリーについてご存知ですか?
「言葉はわかるけど、詳しくはわかっていない……」「車椅子の人が利用しやすように段差をなくすこと?」など、聞き覚えのある言葉だけど知らない部分も多いと思います。バリアフリーとは何か、4つのバリアとは?など基礎的な知識や日常生活に関わる身近な問題点を一緒に考えていきましょう。
バリア(障壁)とは
政府広報オンライン記事(2018年12月10日)によれば、「バリアフリー」の「バリア」とは、英語で障壁(かべ)という意味。バリアフリーとは、生活の中で不便を感じること、さまざまな活動をしようとするときに障壁になっているバリアをなくす(フリーにする)こと。
もともとは建築用語として、道路や建築物の入口の段差など物理的なバリア(障壁)の除去という意味で使われてきました。しかし現在では、障害のある人や高齢者だけでなく、あらゆる人の社会参加を困難にしているすべての分野でのバリア(障壁)の除去という意味で用いられています。
4つのバリアについて
バリアには、一般に「物理的なバリア」「制度的なバリア」「文化情報面のバリア」「意識上のバリア」の4つのバリアがあるといわれています。
1 物理的なバリア
車いすの人やベビーカー利用者が、お店や歩道に段差があって通れないなどの物理的なものを「物理的なバリア」と言います。他にも、子供や車いすの人には届かない位置にあるエレベーターのボタンや、狭い駅の改札口や旅上の放置自転車なども挙げられます。
2 制度的なバリア
障害の有無で就職、資格などが制限されるなど制度的なものを「制度的なバリア」と言います。幼児連れおことわりのお店や、盲導犬を連れた人が飲食店で入店を断られるなどが挙げられます。
3 文化・情報面のバリア
必要な情報が平等に得られないことを「文化・情報面のバリア」と言います。例えば、イベントなどで手話通訳や託児施設がないことや点字・手話通訳のない講演会などが挙げられます。
4 意識上のバリア
バリアフリーに対する認識不足や差別や偏見などによって障害のある人を受け入れなかったり、行動を妨げたりすることを「意識上のバリア」と言います。高齢者や障害のある人を見て「かわいそう」「気の毒だ」と思ってしまうことや、点字ブロックを意識せず、その上にものをおいてしまうなどが挙げられます。
これらのバリアは障害がある人だけではなく、子供・高齢者・外国人など社会生活や日常生活を送るうえでさまざまなバリアとなっています。まずは、この4つのバリアを頭に入れておくことで、柔軟な対応ができるようになるのではないでしょうか。
街中のバリアフリー
ここまでバリアの説明をしてきましたが、そのバリアに対してどう対応しているのか、一番身近な街なかの例をいくつかみてみましょう。
エレベーターでは、車いすの人や子供でも利用しやすいように低い位置にボタンが設置されています。
次に案内サイン。文字が分からなくても、ピクトグラムを表示することによって、分かりやすく場所を案内することができます。
視覚に障害のある人に道を案内するために、駅や道路などには点状ブロック・線状ブロックが設置されています。
このように、日々私たちが暮らし生活している街にもさまざまなバリアフリーがあるのです。気づかないといった無関心は、認識上のバリアになりかねません。私達はこういったバリアフリーの知識を理解した上で生活していくことが大切です。
心のバリアフリー
最後に、心のバリアフリーについて考えたいと思います。
政府広報オンラインによれば、心のバリアフリーは意識上のバリアをなくすために大切なことだと説明されています。2017年に決定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、さまざまな心身の特性や考え方を持つ人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり支え合うことだと定義されています。
例えば、車いすの人が段差で困っている、電車でマタニティーマークやヘルプマークを付けた人が立っている、高齢者が優先席付近で立っているなど、こういった場面に遭遇したときあなたはどうしますか? 見て見ぬふりをしてしまいそうな場面ですが、どうするか迷ったのならひとまず声をかけてみましょう。
「〇〇しましょうか?」や「お席をどうぞ」など、何に困っているかわからない場合でも「何かお手伝いしましょうか?」と、聞いてみることが、心のバリアフリーにつながります。
この記事を通して、バリアフリーに関心を持っていただけたらうれしいです。ぜひ、身近な人とバリア・バリアフリーについて話し合って、さまざまな人が生活しやすい社会を広げていきましょう。