バリアフリーナビプロジェクトでは、バリアフリーを皆さんに知っていただくために歩行空間にまつわるコンテンツを紹介していきます。
皆さんは、街なかにはどのようなバリアがあるか気にしたことはあるでしょうか? 私たちが生活する見の回りでも、実はバリアフリー化されていない、当事者にならないと気づけない場所もあるのではないでしょうか。今回この記事では、その街なかのバリアやバリアフリーに焦点をしぼってお話ししていこうと思います。
物理的なバリアとは
「物理的なバリア」とは、4つのバリアのひとつで、車いすの人やベビーカー利用者が、お店や歩道に段差があって通れないことをさします。私達が何気なく生活している中にも、物理的なバリアが潜んでいます。路上の放置自転車、狭い通路、急こう配の通路、ホームと電車の隙間や高低差、道路から建物までの段差、滑りやすい床、座ったままでは届かない位置にあるものなど。
物理的なバリアは、当事者になってみないと気づけないことも多いと思います。そこで、一番身近な街なかの物理的なバリアに対するバリアフリーについて詳しく紹介します。
駅構内のバリアフリー
通勤や通学、買い物などさまざまな目的を持った人々が、同時にそして大勢利用する鉄道には、バリアに対して多くの工夫がされています。駅でよく目にするバリアフリーといえば、「2段手すり」や「階段昇降機」などが挙げられると思います。
使う人それぞれが、使いやすい高さで使えるように手すりが2段化されており、高齢者や子供でも利用しやすいようになっています。
車いすに乗ったまま階段を移動できる装置。階段やエスカレーターしかない場合は、車いすの昇降機が設置されています。
その他にも、駅のエレベーターは、子供や車いす利用者が使用しやすいようにボタンの位置が低くなっています。
これらのバリアは、手が届く高さに制限があったり段差の移動が困難であったりする人たちが感じるものです。
施設内でのバリアフリー
子連れや車いすなどでのトイレ利用には、狭さや設備不足がバリアになります。しかし、近年、公共・商業施設では多目的トイレが設備されているところが増えてきました。
オストメイト対応、ストーマ装具や汚れ物を洗うための「 汚物流し 」、汚れた腹部を洗うことができるお湯の出る「シャワー付水栓金具」などが設けられている。
多目的トイレとは、オストメイト(ストーマ(人工肛門・ 人工膀胱)を造設した人のこと)対応の設備や、可動式の手すり、便座に座ったままでも使用できる手洗器など、多様な人が利用できるようになっています。高齢者や障害者だけではなく、子供連れにも利用することができるよう、ベビーチェアが備えられているトイレもあります。
車いすやベビーカーでも広々使えるエレベーターや、段差によるバリアをスロープの設置によって解消しています。
その他にも、一畳ほどのスペースをプライベート空間に変え、ベビーケアができるといったサービスを提供している企業もあります。
ベビーケアルームmamaro(Trim株式会社)IoTデバイスを標準搭載し、内部モニターで情報の発信や収集もできるため安心して利用できる。
まだまだ街なかでは、授乳をする場所がすぐに見つからないなどの課題がありますが、こういったプライバシーが確保される場所が増えると安心ですね。
私達ができることからやろう
少しずつさまざまな場所でバリアフリー化が進んでいます。しかし、駅前などで路側帯に放置されている自転車をよく見かけたりはしませんか? 「すぐ戻るから大丈夫」「誰にも迷惑かけてない」といった考えが誰かのバリアになってしまっているのです。自分の生活範囲の中で当たり前だと思っていることを見直したり、街なかにあるバリアフリーについて考えてみてください。
物理的なバリアについて考えることは、そのまま「心のバリアフリー」につながります。「心のバリアフリー」とは、さまざまな心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことと定義されています。(「ユニバーサルデザイン20202行動計画.2017年」より)
一人一人ができることから実践し、多くの人が過ごしやすい社会になるよう心がけましょう。