バリアフリー・ナビプロジェクトでは、歩行空間にまつわるバリアフリーを身近に感じていただくコンテンツを紹介していきます。今回は、子供と一緒の外出時に便利なベビーカーの利用についてです。
小さい子供との外出の際、荷物が多かったり、子供の機嫌がよくないときは大変ですよね。そんなときにはベビーカーがあると便利です。最近では、首都圏のJR主要駅でベビーカーをレンタルできる「ベビカル」(JREベビーカーシェアリング有限責任事業組合)といったサービスもあり、気軽に利用できるシーンも増えてきました。
東京駅、新宿駅、池袋駅、横浜駅、川崎駅、立川駅、舞浜駅など首都圏主要駅を中心に展開する「ベビカル」
ただ、人混みに出かけたり、通勤通学の混雑時の電車やバスなどを使う場合、利用に難しさがあります。
国土交通省のインターネットモニターアンケート調査(令和 3 年 7 月実施)によると、子育て世代のベビーカーの利用率は全体の20.5%ですが、そのうちベビーカーで電車・バスを利用したことがあると回答した人は42.6%と低い割合になっています。
安心してベビーカーを利用するためのベビーカーマーク
ベビーカーを安心して利用できる環境を作るためには、ベビーカーを利用しやすい施設のバリアフリー化だけではなく、利用者のマナー向上や周囲の人々の理解が必要になります。
そこでベビーカー利用促進を含む子育てしやすい移動環境の整備に向けて国土交通省が設置している「子育てにやさしい移動に関する協議会」では、公共交通機関等におけるベビーカー使用を推進するためにベビーカーマークを作成。駅や電車、バスなど、ベビーカー利用が見込まれるさまざまな場所に設置しています。
公共交通機関などでベビーカーを利用できる場所に設置されるベビーカーマーク。逆にエスカレーターなど、利用することで事故が起きかねない危険場所を示す禁止マークもあります。
国土交通省の行ったアンケートによると、ベビーカーマークの認知度は、2021年7月時点で47.1%にとどまり、約半数の人がこのマークを知らないという結果でした。子育てのしやすい社会づくりのため、より多くの人がこのベビーカーマークのことを理解することが重要です。
それではベビーカーマークにはどんな意味があるのでしょうか?
ベビーカーマークのある場所は、ベビーカーの利用者が安心して利用できるスペースを意味しています。例えば、電車のベビーカーがそのまま乗れるように座席のないスペースや、エレベーターなどにあります。このマークは、ベビーカー使用者とその周囲の人に以下のような配慮を促します。
●使用者
周囲の方との接触や通行の妨げなど、ベビーカーの操作に気をつけましょう。
困っているときは遠慮せずに手助けをお願いしてみましょう。
●周囲の人
ベビーカー使用者には、温かい気持ちをもって接し、見守りましょう。
エレベーターがない場所での上り下りなど、手助けを申し出てみましょう。
これらを心がけて、みんなが気持ちよくベビーカーの使用をできる環境づくりをつくっていきましょう。
ベビーカー使用の積極的な支援策「子育て応援スペース」
都営大江戸線では、「子育て応援スペース」を設置した車両の運行をしています。これは、子供に人気のキャラクター「きかんしゃトーマス」や「ぐるんぱのようちえん」、「だるまちゃん」シリーズの絵を壁紙とした楽しい車両です。
©2022 Gullane(Thomas)Limited.
この「子育て応援スペース」のある車両は、一日の運行情報をサイトで公開しています。何両目の車両が「子育て応援スペース」かもわかるようになっていますので、ベビーカーを使用しての外出がしやすい環境が整えられていると言えます。
より子育てしやすい環境づくりのために、みなさんもベビーカーを使用する際やベビーカーマークを見かけた際は、お互いに思いやりを持って温かい気持ちで接するようにしましょう。