バリアフリーについて考えよう!

高齢者の歩行しやすい空間づくりとは?

バリアフリーナビプロジェクトでは、バリアフリーを皆さんに知っていただくために歩行空間にまつわるコンテンツを紹介していきます。

 日本の高齢者の割合は2030年には全人口の3割を超え、2060年には4割近くになると言われています。(高齢者の生活・外出特性について) そのため、高齢者が歩行しやすい空間づくりは、これからの未来のために必要不可欠です。 今回の記事では、歩行しやすい空間とはどういったものなのか、皆さんと考えていきたいと思います。 

 高齢者の歩行には、移動可能な距離と時間が密接に結びつきます。若者には難なくこなせることでも、高齢者にとっては負担になってしまうことがあります。そのため、体力的な問題と肉体的な問題の2つの面からのサポートが高齢者には必要です。 

体力的な問題へのサポート

 高齢者が持続して歩ける距離は若い世代より短いため、適度な休憩で体力を回復することが重要です。そのためには適度に休憩できる空間づくりが必要となってきます。 

 街なかを注意深く見てみると、さまざまな場所にベンチが設置されていることに気づきます。周囲になにもなく「どうしてここにベンチがあるのだろう?」と思う場所に設置されていることも。 

 これらのベンチなどがあることで、高齢者など一度に歩ける距離に限界のある人たちが休憩しながら長い距離を歩けるようになっています。休憩したい時にさっと座って、体力が回復したらまた歩き出す、そんな体力的なサポートを行う役目があるのです。 

東京都世田谷区では「座れる場づくりガイドライン」を策定し、住んでいる人たちが積極的に外へ出て歩ける町づくりを進めています。

 より多くの場所にベンチが設置してあれば、それだけ外出しやすいバリアフリー化が進むということができます。そうなれば、高齢者が外出することへの心配が少しでも減るのではないでしょうか。 

肉体的な衰えのサポート

 肉体的な衰えによって歩行が困難になる問題は、自分自身ではカバーしづらいもの。そこで、移動可能な時間を伸ばす一つの手段として歩行器やシルバーカーの利用が効果的です。 

 シルバーカーとは、自力で歩ける人向けの歩行をサポートする福祉用具です。歩行をサポートするだけではなく、カゴが設置されているので、荷物を運ぶことも可能となっています。他にも、椅子としても利用することができ、歩き疲れた場合に休憩することができる便利なものなどもあります。 

 歩行器は、自立歩行が困難な人が使用する福祉器具です。筋力低下などによって支えがないと歩行が困難な人のサポートや、歩行訓練に使用されています。安定性はシルバーカーより優れており、体重をしっかり支えられることから転倒のリスクを減らせます。また、シルバーカー同様にカゴ付きのものもあるため、荷物を持つ負担を軽減させることが可能となっています。 

 これらの肉体的な面の衰えへのサポートは、高齢者の歩行困難という問題の一つの解決策です。 

 また、オープンデータ化された歩行空間ネットワークデータが利用されることによってさまざまなサービスへの活用が期待されます。 

 出発地から目的地までの道中に段差や傾斜といったバリアがないルートを選ぶことによって、車いす利用者などが、歩行時に支障がなく安全に目的地へ移動するためのルート情報の提供が可能となります。 

歩行しやすい空間づくりにはバリアフリーが必要

 今回は、高齢者の歩行の問題に対する2つの面からのサポートを見てきました。 

 もちろんそれだけではなく、困っている高齢者の方がいたら「何か手伝いますか?」と声をかけてあげるなどして、心のバリアフリー化を進めましょう。そうした気づかいも、歩行しやすい空間づくりの重要な一つの要因になるのではないでしょうか。